仲介手数料の支払いタイミングと売買契約解除の2つに係わる注意点

不動産売買の仲介手数料とは、不動産業者が売買の仲介業務を行ったことに対する報酬をいいます。
宅地建物取引業法では、仲介の依頼を受けた不動産業者は媒介契約を結び、報酬を明記しなければならないとされています。
このように、契約が成立したときに発生する、成功報酬としての側面があるため仲介手数料の支払いは売買契約成立後に発生することになります。
ただ、不動産売買契約締結へ至った場合でも何かの理由により契約解約などもありえます。
その場合にはどのような対応となるのかここではご説明しております。

動画で解説!

はじめに仲介手数料の支払時期から見てみましょう。
こちらは不動産を売却するときの流れから抜粋したものです。
仲介手数料は、売買契約締結時に50%を支払い、残金は決済時に支払うというタイミングが一般的です。
ただし、この支払時期は、宅建業法で定められているわけではありません。
そのため、・不動産業者によっては、「決済時に全額支払い」というところや、「売買契約締結時に全額支払い」というところもあります。
このように仲介手数料を支払う時期は不動産業者によってまちまちなのです。
ここで注意点です。
「決済時に全額支払い」と言う場合は、とくに問題はないのですが、「売買契約締結時に全額支払い」と言う場合は注意しなければいけません。

売買契約が成立すると、不動産業者に仲介手数料の請求権が発生します。
そのため、どの時期に支払うことになっても違法ではありません。
ただし、不動産売買では、契約締結時点で、引き渡しまで完了していないことが多いことから、契約締結時に50%を支払い、引き渡し完了時に残金を支払うことが望ましいとされています。
にもかかわらず、売買契約時に全額請求されたという場合は、もしかしたら、その不動産業者に何かしらの会社事情があるのかもしれません。
・もし全額支払った不動産業者が倒産!ということになれば大変なことになりますよね
また、売買契約時に全額受け取った不動産業者が、その後の業務に対し、やる気がなくなるというリスクがあるかもしれません。
ここでのポイント!「仲介手数料の支払時期は2回に分けよう!」となりますね。

続いて、2つめの注意点は売買契約締結後の解除・解約です。
売買契約を結ぶ前に、契約が成立しなかった場合は・仲介手数料の支払い義務はありません。
しかし、売買契約締結後に契約を解除する場合は注意が必要です。
売買契約締結後に、契約を解除・解約する方法として、手付解除、契約違反による解除、ローン特約解除、買い換え特約による解除などがあります。
それぞれどのようなものなのか、またそのケースごとで・仲介手数料の取り扱い方はどうなるのかという点について見てみましょう。

1.手付解除
手付解除の前に、手付金について説明しますね。
手付金とは、・売買契約締結時に・・買主から売主に支払われるお金を言います。
手付金には代表的なものとして認証手付、違約手付、解約手付の3つの種類があります。
証約手付は、売買契約についての意思を表すことを目的とする手付です。
手付金を支払う買主は「私が買います」、受けとる売主は「あなたに売ります」という意思を表すということになりますね。
違約手付は、契約違反をしたのが、買主であれば、支払い済の手付金は放棄することになり、売主であれば、受け取った手付金を買主に戻し、更に手付金と同額を買主へ支払うという趣旨の手付です。
解約手付は、・契約の解約を希望する場合、違約手付と同じ条件の支払いをすることで契約解除ができるという手付です。
この解約手付による契約の解除を一般的に「手付解除」といいます。
売買契約締結後に売買契約を解除する方法のひとつです。

ただし、民法では、契約解除について、相手方が契約の履行に着手した後はこの限りではないとされています。
契約の履行に着手とは、たとえば
・売主の場合であれば
・土地の分筆登記をおこなった、
・建築材料の発注や工事に着手した
・引っ越し業者と契約した
・買主の場合であれば
・決済準備のために定期預金を解約した
・新居に合わせた家具などを購入した
・売主と同じく、引っ越し業者と契約した
などがあげられます。
売主、買主のどちらかがこのような状況であれば契約解除は難しくなるということですね。

さて、ここで気になるのは手付解除をするときの仲介手数料ですよね。
手付解除は、売買契約が正式に成立したあとになるため、仲介手数料の支払い義務が発生します。
しかも全額支払いとなる可能性が高いと言えるのです。
売主の立場で説明しますね。
既に仲介手数料を・不動産業者に支払っている場合は、返金されることは期待できないといえます。

ただ仲介手数料の実務的な取り扱いは、不動産業者によってまちまちです。
たとえば、・「買主都合であれば、売主が支払うことになる仲介手数料は半分、売主都合であれば売主が支払うことになる仲介手数料は・全額!」という不動産業者もあります。

2.契約違反による解除
相手方に契約違反があった場合は、催告の上、売買契約を解除できるというものです。
催告とは、契約の相手方が契約より発生する義務を実行しない場合に、その義務を行うようにうながすことをいいます。
また、契約が解除された場合は、違約金を、相手方に請求することができます。
極端な契約違反としては、
買主が売買代金の支払いをしない
売主が引っ越しをしない
などがあげられます。
この場合の仲介手数料の取り扱いは、先ほどご案内した手付解除の場合と同様です。

3.ローン特約解除
マイホームを買うときは、住宅ローンの借入をする人がほとんどです。
住宅ローンを借りるためには事前審査と本審査が必要になります。
流れとしては、事前審査に・パスした人だけが売買契約を締結し、それと共に本審査が行われることになるのですが、この時、売買契約書に、「住宅ローンの本審査が通らなかった場合は、売買契約を白紙解除する」と言う条項を盛り込むことがあります。
これが「住宅ローン特約」です。
このような形態の契約を「解除条件付き契約」といいます。
このケースであれば本審査が通らなかった場合、その契約は白紙状態、つまりなかったことになってしまうのです。
さて、このときの仲介手数料はどうなるかというと、
売買契約が成立していないということになりますので、仲介手数料の支払い義務は発生しません。

4.買い換え特約による解除
買換え特約とは、たとえば、買主となる人が、現在住んでいるマイホームを売却した代金で、・新しいマイホームを、購入するときの売買特約です。
買主となる人にリスクが無いように、売買契約書に、「期日までに売却が完了しなければ、売買契約を白紙解除する」と言う条項を盛り込むことがあります。
このような形態の契約を「停止条件付の売買契約」といいます。
期日までに売却できなかったら、売買契約はなかったことになるということですね。

・このケースの仲介手数料も、契約の成立が完了していないことになるため、支払い義務は発生しないということになります。

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