地震保険とは? 補償内容から必要性、選び方まで徹底解説

地震保険とは? 補償内容から必要性、選び方まで徹底解説

 

まず最初に一番大事なことをお伝えしておきます。
地震により建物が損壊した場合には、地震保険に加入していないと保険金はおりません。
また地震が原因で発生した火災で家が燃えてしまっても、火災保険では保険金はおりません。地震による堤防決壊による浸水で家が水没しても火災保険では保険金がおりません。

いずれも地震保険に加入していないと保険金がおりません。

日本は毎日と言っていいほど揺れています。

気象庁のホームページで各地の震度に関する情報を閲覧することができますが、本記事を執筆している2020年5月20日も岐阜県飛騨地方で震度4、福島県沖で震度4の地震を観測しています。直近の一週間を見ても、震度1以上の地震は毎日観測されていますし、震度3以上の地震は15回も観測されています。
また、近年では以下の大地震が記憶に新しいところです。

  • 1995年(平成 7年)  1月   阪神・淡路大震災
  • 2000年(平成12年) 10月   鳥取県西部地震
  • 2008年(平成20年)  6月   岩手・宮城内陸地震
  • 1995年(平成 7年)  1月   阪神・淡路大震災
  • 2000年(平成12年) 10月   鳥取県西部地震
  • 2008年(平成20年)  6月   岩手・宮城内陸地震
  • 2011年(平成23年)  3月   東日本大震災
  • 2016年(平成28年)  4月   熊本地震

「まさか」の事態に備えての地震保険ですが、今は「まさか」なんて言っているような状況ではありません。明日、大地震が発生するかもしれないのです。
正に、待ったなし!逃げ場なし!
逃げることができないのであれば、備えるしかありません。

【地震保険とは】

ここではまず、地震保険というものをその他の保険、生命保険や損害保険と対比して、その意味を理解してみましょう。

生命保険・損害保険の違いと地震保険

私たちはさまざまな保険に加入しています。
保険は老いや思わぬ病気、怪我に備えたり損害から暮らしを守るためのものです。
生命保険は人の生死に関して保険金を支払う保険のことで「ヒト保険」とも言われます。これに対して損害保険は事故によって実際に被った損害に保険金を支払う保険で「モノ保険」とも言われています。
さらに人のケガや病気などに備える医療保険やがん保険などは第三分野の保険といい、生命保険会社でも損害保険会社でも取り扱うことができるようになっています。
生命保険は人に保険を付けますが、人の体に値段をつけることはできません。よって、保険契約の約定範囲内であれば、生命保険の死亡保障として3000万円加入しようが、1億円加入しようが契約に基づいた金額が定額で支払われます。これを「定額給付」といいます。
一方、損害保険は主に物に保険を付けますが、物は値段の評価をすることができます。損害保険では物の評価額以上に保険金が支払われることはありません。これを認めてしまうと事故などで発生した損害額以上の保険金が支払われることで利益を得ることができ、故意に事故を起こして利益を得るなどの犯罪・詐欺などが生じる恐れがあるからです。このように損害保険では、実際の損害額に基づいた金額が支払われます。これを「実損てん補」といいます。
地震保険は家や家財に保険をかけますので、損害保険の分野という事になります。

地震保険の補償対象

地震保険は保険会社の地震保険責任の一部を政府が再保険により引き受けている官民一体の保険制度です。地震はいつどこで、どれくらいの規模のものが発生するか分からず、一度発生してしまうと巨額の損失をもたらす恐れのある災害であるため、保険会社だけでは制度を維持していくことできないので政府が関与しています。
地震保険では以下のような場合に補償対象となります。

①自身のゆれにより発生した倒壊などの損害
②地震により発生した火災による損害
③地震により発生した地滑り(土砂崩れ)などによる損害
④地震により発生した洪水による損害
⑤地震・噴火により発生した津波による損害
⑥噴火により抽出した溶岩や火山灰などによる損害

なお、地震保険の対象となるのは居住用建物(専用住宅または店舗や事務所などとの併用住宅)やそれに収容されている家財となります。店舗や事務所のみの用途の建物やそれに収容されている家財、あるいは商品や設備什器などは地震保険の目的とすることができません。
また、家財には有価証券や預貯金証書、1個または1組の価格が30万円をこえる貴金属・宝石・骨董・美術品などは含まれていません。
契約できる金額は火災保険の契約金額の30%~50%の間で契約者が任意で設定できますが、建物5000万円、家財1000万円という上限が設けられています。

地震保険の保険料

地震保険の保険料は「基準料率」が適用され、保険料が算出されます。
「基準料率」は建物の構造・建物の所在地別の「基本料率」に、割引が適用される場合はその割引率を適用し、さらに保険期間2~5年の契約については、保険期間が長くなるほど割引が大きくなる長期係数を適用して計算します。

基準料率 = (1)基本料率 × (2)割引率 × (3)長期係数

・地震保険はどこの損害保険会社も上記の基準料率で保険料を算出しますので、損害保険会社によって保険料が変わることはありません。
・地震保険は最長で5年加入することができます。1~5年契約で長期契約になるほど、1年あたりの保険料は安くなります。

基本料率

基本料率は、地震保険の契約対象である居住用建物、あるいは、家財を収容する居住用建物の①構造とその②所在地(等地)できまります。

構造区分

建物の構造が異なると、地震のゆれによる損壊や火災による焼失のリスクも異なります。
このため、建物を「イ構造」と「ロ構造」の2つに区分することで、こうした違いを保険料率に反映させています。
「イ構造」 : 耐火建築物、準耐火建築物および省令準耐火建築物
「ロ構造」 : イ構造以外の建物

等地(所在地)区分

地震発生リスクなどは地域により異なります。このため、全国を3つの地域に区分することで、こうした違いを保険料率に反映させています。
「1等地」 : 北海道 青森県 岩手県 秋田県 山形県 栃木県 群馬県 新潟県 富山県 石川県 福井県 長野県 岐阜県 滋賀県 京都府 兵庫県 奈良県 鳥取県 島根県 岡山県 広島県 山口県 福岡県 佐賀県 長崎県 熊本県 鹿児島県
「2等地」 : 宮城県 福島県 山梨県 愛知県 三重県 大阪府 和歌山県 香川県 愛媛県 大分県 宮崎県 沖縄県
「3等地」 : 茨城県 埼玉県 千葉県 東京都 神奈川県 静岡県 徳島県 高知県

以上のように地震発生リスクにより地域区分を行い、都道府県ごとに基本料率を定めています。「イ構造(耐火建築物、準耐火建築物および省令準耐火建築物)」の保険期間1年、保険金額1000万円あたりの基本料率を比較してみると、一番安い岩手県など一番基本料率が低い20件は7100円ですが、一番基本料率が高い東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県では25000円となっています。なんと3倍以上の保険料の差があるのです。

割引率

割引は、建物の耐震性能に応じて設けられており「免震建築物割引」「耐震等級割引」「耐震診断割引」「建築年割引」の4種類があります。なお、これら4種類の割引は重複して適用されません。

「免震建築物割引」

対象 : 免震建築物と評価された居住用建物およびこれに収容される家財
割引率 : 50%
確認書類 : 住宅性能評価書(登録住宅性能評価機関から交付)等

「耐震等級割引」

対象 : 耐震性能が耐震等級1~3に該当する居住用建物およびこれに収容される家財
※耐震等級とは、住宅の品質確保の促進等に関する法律に規定する日本住宅性能表示基準に定められた耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)、または国土交通省の定める「耐震診断による耐震等級の評価指針」に基づく耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)をいいます。

割引率 : 耐震等級3 50%
耐震等級2 30%
耐震等級1 10%
確認書類 : 住宅性能評価書(登録住宅性能評価機関から交付)
耐震性能評価書(登録住宅性能評価機関または指定確認検査機関から交付)等

「耐震診断割引」

対象 : 耐震診断または耐震改修により、建築基準法に定める現行耐震基準に適合されていることが確認された居住用建物およびこれに収容される家財

割引率 : 10%
確認書類 : 耐震診断または耐震改修の結果により減税措置の適用を受けるための証明書(登録住宅性能評価機関または指定確認検査機関から交付)
国土交通省の定める基準(平成18年国土交通省告示185号)に適合することを証明した書類(登録住宅性能評価機関または指定確認検査機関、建築士、地方公共団体の長から交付)等

「建築年割引」

対象 : 1981年6月1日(建築基準法に定める現行耐震基準実施日)以降に新築された居住用建物およびこれに収容されている家財

割引率 : 10%
確認書類 : 建物登記簿
重要事項説明書(宅地建物取引業者が建物の売買、交換または貸借の相手方等に対して交付)等

 

長期係数

地震保険は最長で5年間加入することができますが、長期で加入するほど1年間あたりの保険料は安くなります。

保険期間ごとの係数(長期係数)は以下の用になります。

保険期間   :   長期係数

2年     :    1.90
3年     :    2.80
4年     :    3.70
5年     :    4.60
先ほどの東京都の保険金額1000万円の基本料率で計算してみますと、

保険期間1年間  保険料 25,000円    1年あたりの保険料 25,000円
保険期間2年間  保険料 47,500円              23,750円
保険期間3年間  保険料 70,000円              23,333円
保険期間4年間  保険料 92,500円              23,125円
保険期間5年間  保険料 115,000円              23,000円

となりますので、1年間を5回更新して5年加入するより、保険期間5年で加入された方がトータルの保険料で10,000円安くすることができます。

 

支払われる保険金の額

地震は広い地域で一度に甚大な被害が生じる可能性があります。

そのため、一棟一棟の損害額を個別に算出することができないため、また迅速な保険金支払いの観点から、損害の程度を「全損」「大半損」「小半損」「一部損」の4通りで認定することになり、いずれかに該当する場合に保険金が支払われます。また、建物の損害は主要構造部(壁、柱、床など)の損害により判定されます。

 

損害の程度 損害の程度の認定基準 支払われる保険金の額
建物 家財
全損 主要構造部の損害の額が建物の時価額の50%以上

 

焼失・流失した部分の床面積が建物延床面積の70%以上

家財の損害額が家財の時価額の80%以上 地震保険金額の100%

(時価額が限度)

大半損 主要構造部の損害の額が建物の時価額の40%以上50%未満

 

焼失・流失した部分の床面積が建物延床面積の50%以上70%未満

家財の損害額が家財の時価額の60%以上80%未満 地震保険金額の60%

(時価額の60%が限度)

小半損 主要構造部の損害の額が建物の時価額の20%以上40%未満

 

焼失・流失した部分の床面積が建物延床面積の20%以上50%未満

家財の損害額が家財の時価額の30%以上60%未満 地震保険金額の30%

(時価額の30%が限度)

一部損 主要構造部の損害の額が建物の時価額の3%以上20%未満

 

全損・大半損・小半損に至らない場合、床上浸水または地盤面から45㎝を超える浸水

家財の損害額が家財の時価額の10%以上30%未満 地震保険金額の5%

(時価額の5%が限度)

 

以上のように4通りに損害が分類(認定)されます。

「全損」という言葉から、地震で建物が跡形もなく崩壊してしまった状態をイメージしますが、実際は「主要構造部の損害の額が建物の時価額の50%以上」もしくは「焼失・流失した部分の床面積が建物延床面積の70%以上」で全損と認定されて地震保険金額が100%支払われます。

一方、損害が軽微だった場合で「一部損」にも認定されなかった場合は、保険金は支払われません。仮に一部損が認定された場合、保険金額1000万円であればわずか50万円しか支払われないのです。

 

まとめ

費用対効果や実際に罹災した際の支払われる額を考えると、地震保険はあまり割のいい保険ではないかもしれません。しかし、何が起こるか分からないご時世です。

冒頭でお伝えしましたように、日本は毎日揺れています。明日、震度7の大地震が発生する恐れもあるのです。

地震大国で生きていくうえで、日頃の防災意識や防災用品の準備、非常食の備蓄などは当然のことですが、地震保険に加入することも検討しなければなりません。

 

昨今の新型コロナにより、国や政府がいかに当てにならないかという事が露呈しました。

「まさか」の事態がおきても国や政府は助けてくれません。私たちは自分たちの身は自分たちで守っていかなくてはならないのです。

 

もう一度近年発生した大震災を記しておきます。

・1995年(平成 7年)  1月   阪神・淡路大震災
・2000年(平成12年) 10月   鳥取県西部地震
・2008年(平成20年)  6月   岩手・宮城内陸地震
・2011年(平成23年)  3月   東日本大震災
・2016年(平成28年)  4月   熊本地震
1995年 → 2000年 → 2008年 → 2011年 → 2016年 → ???

 

さて、必ず起こると言われる大地震。
あなたはどういう備えをしてその日を迎えますか?

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